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ナマステ!
標高4,130mまで登った7泊8日のヒマラヤトレッキング体験記。
前回までの体験記はこちら。
いよいよ2日目!本格的にトレッキングをスタートしました。
なのに、乾季とは思えない大雨に見舞われる僕ら…。
果たして無事目的地まで歩けるのか?
朝から土砂降りの大雨。秘策で乗り切る!
昨晩は20:30に寝てしまった。80代のおじいちゃんか。
しかも睡眠時間10時間。明らかに寝すぎ。
でも言い訳をすると、泊まっているゲストハウスでは基本することがない。
部屋にあるのはベッドだけ。
テレビなんてないし、WiFiだって金を払わないと使えない。
そんなわけで夜ご飯を食べてベッドで横になっていたら寝てしまった。
睡眠十分でさぞ気持ちのいい朝を迎えるのだと思っていたのだが、生憎の大雨。
しかも、ドン引きするくらいでTHE土砂降り。
休みの日に振ったら「今日はどこにも出かけずゆっくりしよう」と思うレベル。
もちろん会社に行かなきゃいけなかったら絶句するレベル。
自分がサラリーマンであることを恨むレベル。
そんな日に僕はトレッキングをするのだ。
大雨に打たれながら山登りをするのだ。
高い金を出して、修行しにきたのかとか思いながら雨が止むことを祈る。
朝ご飯はトーストとオムレツ。
これにネパールの甘いミルクティーのチーヤを胃に流し込む。
昨夜の晩飯を食べた時も思ったけどこんな山奥で食べる飯にしてはめちゃうまい。
昨日のダルバート(ネパールカレー)もうまかったし、朝ご飯のトーストもバターがたんまり塗ってあってくそうまい。
そんなことを思いながら外を見ると、まだ雨が降り続けている。
今日のコースは目的地まで大体4時間くらい。
「昼に出ても夕方には着くので大丈夫ですよ」とガイドのアティットに言われるも、ここにいてもすることがないので、雨と真っ向勝負しながら歩くことにする。
部屋に戻って荷造りしていたら、自分が雨対策を完全に怠ってきたことに気づく。
まず自分が着る、防水性のあるアウターのジャケットがない。
そしてリュックが濡れないようにカバーする袋は荷物がパンパンだから入らない。
ずぶ濡れを覚悟したところでアティットが、サンタさんのプレゼント並みに嬉しいものを持ってきた。
どでかい赤いビニール。
1枚をかばんのカバーに、1枚を僕が着るように使ったらどうかと素晴らしい提案。
そうして実演してくれた。
うーん。ありがたいんだけど、なんかイマイチ。
歩いてたら風でぶっ飛んでいきそう。
ってことでちょっと改良。
顔と手を出す切り込みを入れてもらう。
この写真だと完全に襲われてる感じに見えるけど、切り込みをどこに入れるかを考えてるだけなのでご安心。
できあがったのがこちら。
なんかに似てると思ったら、あいつだ。
ウルトラマンに出てくるあいつ。
ピグモンinネパール。
見た目はダサいが、機能性は抜群。おかげで雨の中でも全然平気だった。
それを分かってか、すれ違う欧米トレッカーに「Nice!!」と何回か声をかけられた。
そうと信じたい。
かばんを背負ってくれるポーターのスージャンにも1枚。
ちなみにこの赤いビニールのお値段は2枚で300ルピー(約300円)。
1泊の宿代と同じ値段。さすがネパール。わけわからん。
ピグモンパワーで大雨にも負けずに歩き出す
9時ごろいよいよ出発。
雨は相変わらず降り続けてるけどピグモンスタイルだから気にならない。
大自然の中をゆっくり進んでいく。
道はアップダウンが多少あるものの、比較的平坦でさほど体力を消費せず。
昨日あれだけしんどかったので不安だったけど、足も慣れてきたみたい。
途中揺れまくるつり橋なんかを渡ったり。
うぉ~怖すぎる…。
自慢じゃないが僕は生粋の高所恐怖症だ。
横浜のランドマークタワーとか、東京タワーとか本当に怖すぎる。
観覧車ももちろん無理なんだが、観覧車に乗るとなぜか屁が止まらなくなる。
女の子とデートしてるときに何度もすかしっぺをこいたことがあることはここだけの秘密にしておこう。
話をつり橋に戻す。
こういうとき、世のバカップルとかは男がわざとつり橋を揺らすんだろう。
そしてそれを受けて、女は「ちょっとやめてよ~!」とか言いながらキャッキャッするんだろう。
日本ならどうぞ勝手にやってくださいってところだが、ここはネパール。
本当に落ちるかもしれないのでむやみに揺らすなんていう自殺行為はしないことをおすすめする。
昨日も驚いたけどこんなトレッキングコースなのに、普通に民家がある。
どうやって暮らしているんだろうか。
自称シティボーイの僕からすると信じられない。
協力隊としてネパールに来て、僕は村に通って1年以上経つ。
それでもカトマンズから車で1時間で着く村と、ここじゃ生活の難しさは比べ物にならないだろう。
まだまだ自分はネパールのことを知らないなと勉強不足を痛感。
そしてこんなにも自分が住んでいるところに、外国人観光客がトレッキングをしに来るってのはどんな気分なんだろう。
トレッキングをする僕らからすると、現地の人達の生活が見られるのは貴重だし嬉しいし、ヒマラヤトレッキングの1つの魅力だと思う。
でも、ここに住んでいるネパールの人からすると、どうなんだろう。
ご迷惑になっていないだろうか。楽しんでくれているならいいんだけど。
中間地点ジヌーから始まった地獄の階段祭り
そうこうしているうちに歩いて1時間ほどでジヌーという今日の中間地点に到着。
ここにはなんと温泉があるのだという。
ネパールに来てからお風呂に入ったのは数える限り。
水不足はもちろん、浴槽に入るっていう文化がネパールにはないのだ。
だから温泉っていう言葉を聞いただけで、ルンルンしてきてしまう。
30近い男がルンルンとか言いながら身体を小刻みに揺らしていたらつかまりそうなので、抑えたけどね。
あと誤解を招きそうだから言っておくが、お風呂に入ったってのは「湯船に浸かる」って意味なのでお間違いなく。
シャワーは毎日浴びてるのでご安心を。
そんなルンルン気分な僕だったけど、残念ながら、行きは温泉には入らないことに。
なにせこの大雨だ。温泉は帰りの楽しみにとっておくことにする。
クタクタで帰ってきてからの温泉を想像するだけでヨダレが出てきてしまう。食べ物でもないのに。
少し休憩をして、また歩き出す。
ここから目的地のチョムロンまでがコース最大の難所らしい。
なんといっても、階段地獄。登っても登っても、階段が続く。
電線の終着点がもちろんゴールじゃないと思うけど、一応アティットに確認。
「ゴールのチョムロンはもっと上ですよ~」
で、ですよね~…。分かっていたけど、改めて聞くと心が折れそうになる。
そうは言いつつも、ここで休んでいても始まらないので歩き出す。
道は階段だらけと聞いていたけど、本当に階段だらけだった。
なんと標高差400m。大袈裟じゃなくて本当に地獄やん。
登っても登っても階段が終わらない。
永遠に続いていくんじゃないかと思うような階段祭り。
祭りは祭りでもこんな祭りは全然嬉しくない。
そして予想通り、階段の道は足に全然優しくなかった。
何度も段を登っていくと、膝と太ももに痛みが走る。
同じ道でも階段がないゆるやかな坂を登っていく方がきっと全然楽だ。
階段と会談の間に少しでも平坦な道があると足を休ませられる。
でも残念ながら、そんな甘えは許してくれないみたいだ。
おかげで乳酸が溜まって足がパンパンになっていく。
登り切ったと思ったら、下からは見えてない部分がまだそこにはあって、階段がまた続いている。
なんだこの1人勝手にツンデレプレイ。
昔からMっ気がある僕だけどこれはきつかった。
途中でロバを父、馬を母に持つ異端児「ラバ」に出会う。
こやつらの上に下界で買ってきた荷物を乗せて運んでいくらしい。
ラバの「バ」はたぶんロバの「バ」だろう。
じゃあラバの「ラ」はどっから来たんだ。
どうせなら公平に馬からも1文字とってあげて、「ウバ」か「ラマ」にしたらいいのに。
そんなことはどうでもいいとして。こんな風にして途中何度も足を止めて休む。
ピグモンが妊娠してるかのように見えるけど、肩掛け鞄を前にしてるだけなので誤解しないでほしい。
さっきのラバらへんで食べた日本のようかんが震えるほどのうまさだった。
たまらんうまさ。
カトマンズでシニアボランティアさんの奥様にいただいたのだが、ありがたすぎた。
ネパールに来てから自分が日本人だということがよくわかった。
きついときの日本食が身に染みるようにうまいから。
体調が悪かったり、疲れてたり、精神的に落ち込んでる時に食べる日本食は泣きそうなくらいうまい。
オーストラリア留学時代にお会いした日本人のお兄さんが「俺はパスタが好きだからイタリア人だと自分では思っている」と本気の顔して言っていたのがようやくわかった。
その人が何人なのかは、その人の食事によって決まるっていうのはある意味本当だと思う。
あのときは頭おかしいんじゃないか、この人って思っちゃってごめんなさい。
地獄の階段を登り続けること約2時間。遂に目的地チョムロンに到着!
まだかまだかと思いながら、地道に階段を登り続けること約2時間。
遂に、今日の目的地チョムロンに到着。
看板が見えたときはちょっと泣きそうになった。足がパンパンだ。
標高2,170m。出発地ニューブリッジは1300mくらいだったから今日だけで800m近く登ってきたということだ。
我ながらすごい。よく頑張った。
ここチョムロンは比較的大きな町みたいで、ゲストハウスが大量にある。
学校も普通にあるし、おいしそうなパン屋さんもあるし、お土産屋さんまである。
とても山奥とは思えない。
よく整備されたトレッキングコースになっているなと感心した。
また今日のゲストハウスもいい感じで部屋もきれい。
食堂は日本のゲレンデのレストランみたい。
テレビもあってこんな山奥なのにきれいに映っている。
水シャワーを浴びて、お昼ご飯を食べる。
ホットシャワーもあるんだけど、こんな山奥なだけに有料。
といっても1人100ルピー(100円)くらいだから全然入ってもいいんだけど、まだ2日目だしちょっとケチって水シャワーにした。
Kindleを読んだり散歩しながらゆっくり午後を過ごす。
そうしたら雨も止んで霧も晴れて、ヒマラヤの代表的な山の一つ、マチャプチャレが少しだけ顔を出してくれた。
全部は見えなかったけど、神々しい。ここでさえかなり近いのに、これからもっと近くで見えるようになるって考えたら興奮が止まらない。
明日はしっかり晴れますように。
Day3へと続く。
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